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「だろう! 今回のなんかもう! 本当すごかったからな! まさかあの絶望的な状況で諦めず立ち向かうとはっ!」
ダレイドは身をのりだし、鎧の中からでも興奮が伝わるほど早口に語り出した。
「・・・確かに。今回は本当に危なかったですね」
いいながら、おい、やめとけって! と止める自分がいる。 これ以上語られたらまずい。
「そうだろ! まさかあの長きに渡り激戦を繰り広げてきたライバルが完全に悪魔に魂を売り渡し!」
「ああ、変身したんですよね!?」
いいながら、やばい、と思ったが、すでにそれ以上に語りたくてウズウズしていた。
「そう! そして更にっ! 仕組まれていた巧妙な罠にかかり完璧に包囲された状態に!」
「あのときは本当にダメかと思いましたね!」
「だろ!? だろ!?」
こうなるともう誰も止めることは出来ない。
「迫り来る敵!」
「宿敵から放たれる強力な一撃?」
「絶対絶命と思われたその時! 秘められた力が覚醒する!」
「しかし! もう残された力はわずか! これ以上の力を使うことはあまりに危険!」
「極限の状態のなか、自身を省みずに放った、新必殺技・・・!」
「「デルタ・エクスプロージョン!!」」
最後のは完全に被っていた。
「・・・はっ?!」
「ヒーロー・・・やろうぜっ!」
親指を立てたダレイドは、鎧の上からでも満面の笑顔であることが想像出来た。
「帰ります」
おほん、と咳払いをして、その場から立ち去ろうとする。
「まぁまて、俺だって戦うべき相手いないのにヒーローを名乗るほどバカではない」
「はぁ」
止められ、俺は渋々振り返り、ダレイドの顔見る。とは言っても表情はうかがえないが。
「・・・」
ダレイドは手を組んでテーブルに置き、急に深刻な面持ち(雰囲気?)で話し始めた。
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