8人が本棚に入れています
本棚に追加
プシュー
バスのドアが閉まり、走り出す…
ブロロロロロ……
去って行くバスを僕は結衣を背中にオンブしながら見ていた。
「どうしよう…」
辺りを見回す…
『加賀見の』
と書かれたバス停の看板を見上げる。
『11:00最終』
時刻表を見てタメ息をつく。
今、僕が見送ったバスは行き帰り合わせて本当の最終バス……
僕が本来降りるはずだった『鷹の台前』のバス停はここより20分ほど戻った所だ…
「仕方ない…姉ちゃんに迎えに来てもらえばいいか…」
学校の保健医をやっている姉ちゃんに電話をかける…
『もひもひ~佑ちゃ~ん?』
ピッ!
何も言わず携帯を切る。
「あいつ~酔っぱらってやがる…よりにもよってこんな時に!」
怒りに携帯に向かって「バカ女!」と怒鳴る。
「んん……」
背中の結衣が起きた…
「ごめん!起こしちゃった?」
「………………」
結衣は僕の背中で気だるそうに瞼を開ける…
「ここ…は…?」
「あ、結衣が降りるバス停だよ。『加賀見』て…ここでいいんだよね?」
「……なん…で…?」
「あ、違った!?もしかして1つ先のバス停?いや1つ前だった!?」
慌てる僕を結衣は少しだけ口元を吊り上げ笑う…
最初のコメントを投稿しよう!