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この半年で私――大和朱莉の中で大きな変化があった。
許嫁ができたこと。
それをきっかけに宿敵の生徒会長と恋人のフリをすることになったこと。
彼のことを「蒼司」と名前で呼ぶようになったこと。
蒼司の過去を知ったこと。
私自身も、誰もそんな風になるなんて予想できなかったはずだ。
秘密の恋人のフリも少し楽しくなってきたころ、季節は秋を迎えた。
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二学期はあわただしく進んでいく。
柏原第三高校にも学園祭の季節がやってきた。
そして生徒会室には。
「……では、そのように頼む」
「分かりました」
生徒会のメンバーと私達レジスタンスのメンバーが勢ぞろいしていた。
敵対組織が一堂に会するという、まさに一触即発の雰囲気。
そんな中で私――大和朱莉は生徒会長――吉野蒼司と向き合い。
「3日間よろしく頼む」
「……ええ」
かっちりと握手をした。
普段は対立しているレジスタンスと生徒会だけど、この学園祭期間中は別だ。
お互いが協力し合って、学園祭の成功のために動く。
まあ、学園祭に関しては「成功させる」で意見は一致してるもんね。
「それじゃ、見回り行くよ!」
「はい、リーダー!」
レジスタンスは校内の見回りとトラブル対処を担っている。
私は集まってくれたメンバーに号令をかけた。
「大和さんはちょっと待ってくれ」
早速、生徒会室を出ようとした私を会長が引きとめた。
他の子たちを先に行かせ、私は彼の前に行く。
「何か?」
「……これを見ろ」
すっと目の前に紙が出された。……これは今回のシフト表。
「昼の部分、組み直してくれ」
「なんで!?」
「……一番来場者が多い時間だ。もっと人員を割かなければ意味がないだろう」
ド正論だった。
でも……。
と私は食い下がる。
「こっちも人手が足りないのよ!」
「だから生徒会からも人を貸すと……」
「ケンカになって絶対仕事にならないからやめた方がいい!」
「……」
机を挟んで私達はにらみ合う。
……部屋に残っていた人達が私と会長から距離を取った。
すみません、お騒がせしております。
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