第1章

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「繁盛なさっているようですね」 小鉢のざる豆腐に箸を付けながら朽葉が言った。 隣りに座った金髪の男が落ちつかなそうに、 きょろきょろと店内に視線を走らせる。 「……おかげさまで」 答える秋月の表情は硬いままだ。 「この間のお話は考えていただけましたか?」 きゅ、 と秋月の眉が寄せられる。 「その話はお断りしたはずですが」 「こちらとしては随分お譲りした条件のつもりなんですがね」 丸サングラスの下から視線がちらりと夏目に走る。
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