第1章

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「この店を手放すつもりはありません」 秋月の言葉に、 夏目がはっと驚いた顔になった。 ……手放す?この店を? 「父の借金は月々きちんと返済しています」 朽葉を見据えたまま秋月が言葉を続ける。 そうですね、 と朽葉が吸い物を取って一口飲み込む。 ゆっくりと味わってからおもむろに口を開いた。 「……今までの分はね」 今まで?と秋月が怪訝な顔になる。 「新しい証文が出てきましてね」 朽葉がスーツの懐から紙を取り出した。 「新しい……って、 そんな馬鹿な!」 カウンターに出されたそれを秋月が手に取る。 夏目が脇から覗き込んだ。
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