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「―――三千万?」
金額を見た夏目の目が丸くなる。
「そんな……こんな話は聞いていません!」
「そんなもこんなも、
こっちにゃぁ証文があるんだよぉ!」
恫喝に慣れた声が上がり、
突然金髪の男が立ち上がった。
「下手に出てりゃァ―――」
不意にきらりと光を弾いて。
男の目の前のカウンターに飛んできた何かが転がった。
「……なっ」
思わず男が飛び退って、
座っていた椅子が派手な音を立てて倒れた。
カウンターにごろごろと転がったそれは、
血糊も生々しい魚の頭だ。
「あ、
すみません」
魚を捌いていたら手が滑って~と、
へらりと笑った夏目が腕を伸ばす。
「んだとぉ!」
「沼田」
カウンター越しに夏目の胸座を掴んだ男を、
朽葉がたしなめる。
剥き出しの上腕に爬虫類めいた刺青をした沼田が、
渋々といった様子で手を放した。
三白眼が夏目を睨みつける。
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