第1章

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「すまない……とんだところを見せてしまって」 いえ、 と夏目が首を振る。 「あの……借金って?」 立ち入った事とは思いながら、 夏目はつい口に出してしまった。 秋月がひとつ吐息をつく。 「親父が死んだ時に、 あの連中……黒木商会というんだが、 やつらが親父のした借金だという証文を持ってきたんだ。 俺は何も聞いていなかったし……そんな馬鹿なとは思ったんだが」 「借金のかたに、 このお店を?」 秋月が頷く。 「店と言うより、 この土地が目当てらしい。 この辺り一帯に広く手を伸ばしている。 サラ地にして、 流行の雑居ビルを建てたいらしいんだ」 「そんな……でもまた証文が出てきたなんて、 嘘臭いですよ」 「前の時もちゃんと見てもらって……うちの実印が押してあった」 今回も確かめなくてはいけないけれど、 と秋月がまた吐息をつく。
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