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「すまない……とんだところを見せてしまって」
いえ、
と夏目が首を振る。
「あの……借金って?」
立ち入った事とは思いながら、
夏目はつい口に出してしまった。
秋月がひとつ吐息をつく。
「親父が死んだ時に、
あの連中……黒木商会というんだが、
やつらが親父のした借金だという証文を持ってきたんだ。
俺は何も聞いていなかったし……そんな馬鹿なとは思ったんだが」
「借金のかたに、
このお店を?」
秋月が頷く。
「店と言うより、
この土地が目当てらしい。
この辺り一帯に広く手を伸ばしている。
サラ地にして、
流行の雑居ビルを建てたいらしいんだ」
「そんな……でもまた証文が出てきたなんて、
嘘臭いですよ」
「前の時もちゃんと見てもらって……うちの実印が押してあった」
今回も確かめなくてはいけないけれど、
と秋月がまた吐息をつく。
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