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「あ!」
秋月の車の音に夏目が顔を上げる。
階段を駆け下りて外に出れば、
ちょうど母屋の駐車場に車が止まるところだった。
「夏目?」
車から降りた秋月が、
夏目の姿を認めて目を見開く。
「秋月さん、
どうでした?」
「……ともかく証文を見てもらわない事には何とも……ただ黒木商会は、
再開発地域のあちこちに手を出してきているらしい。
どうやらうちだけじゃないようだ」
秋月が吐息を落とす。
夏目が言葉のかけようもなくその顔を見つめた。
日の沈んだ黄昏の空。
風に乗ってお囃子の音が聞こえてくる。
お祭りだ、
と夏目が耳を澄ました。
「……蛍、
見に行くか?」
そう言って、
先に立った秋月が歩き出す。
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