3人が本棚に入れています
本棚に追加
「……種は出した方がいいぞ」
腹をこわす、
と真面目な顔で秋月が言った。
デザートに合うガラスの器があるからそれを出してくると、
母屋に戻っていく秋月を見送って。
はーと長い溜息をついた夏目が、
厨房にしゃがみこむ。
……俺、
どうかしちゃったのかな。
俯いた額に落ちる黒髪をかきあげて、
夏目が吐息をもうひとつ落とした。
秋月さんは料理人としての腕も良くて、
尊敬できて、
真っ直ぐな人で。
でも意地っ張りで強情で、
なのにどこか危なっかしいところもあって、
目が離せなくて。
側にいて役に立てたら嬉しいと思う。
最初のコメントを投稿しよう!