第1章

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「こんな顔で良かったらいつでも見に来てくださいね」 薄緑の寒天とさくらんぼの皿に、 OL達が一斉にかわい~!の声を上げる。 「これ蛍ね、 すごいカワイイ!」 「蛍と言えば、 今日近くの川原で蛍祭りがありますよ」 夏目が店内に貼られたポスターを指す。 地元の青年会と町の世話役達で作っている『蛍保存会』が主催する小さなものだが、 出店もあるちょっとしたお祭りだ。 毎年これを楽しみにしている子供たちも大勢いた。 町のほぼ中央を流れる川は『保存会』の努力もあって、 いまだ清流を湛えている。 毎年ほんの短い期間だけ、 そこは蛍を見に来る人々で賑わうのだった。
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