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頭をあげる時にさりげなく直すと、兄王子はそれをしげしげと眺めていた。
「クラン、お主目が悪かったか?」
その言葉に主の可愛らしい口から「え」と驚いたような声が上がる。
この王子は自分のことをよくしているはずだ。
本当に自分のことしか考えていないのか。
その事に構いもせず、兄王子は続ける。
「まぁ、どうでもよいか。それにしても我が妹とお揃いの柄とは仲睦まじい」
兄王子の発言に再び主の口から「え」という声が上がる。
待ってほしい。
このニブニブお姫様は気づいてなかったのか。
「………たまたまでございましょう。姫様とお揃いなど身分不相応にございます」
動揺している小さな姫君をじっくり見るのをたえ、兄王子に答える。
お願いだから、上目使いでこちらを伺うのはやめてほしい。
前を向け、前を。
「そうか」
兄王子はさして興味があったわけではなく、あっさりと身を引いた。
もしくは、これを『作戦の内』と取ったのかもしれない。
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