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「……只今電話に出ることが……」
流れてきた定型のアナウンスに眉を寄せる。
とりあえず伝言を残して、
電話帳を捲って探し出した葛見の病院の番号を次に押した。
「夜分にすみません。
葛見先生の知り合いのものなんですが、
先生はそちらでしょうか?」
『お待ちください』
ただいま緊急の手術中です、
と言われて唇を噛む。
「終わりましたらお電話を下さるように、
お伝え願えませんか?急いでいるんです」
秋月の電話番号を告げて電話を切る。
「秋月さん」
居間の壁に背中を預けて大きく息を繰り返す秋月の脇に、
夏目が膝をつく。
「なつめ……苦し……」
俯いたまま掠れた声で秋月が夏目のシャツの胸を掴んだ。
「どう……どこか痛いですか?救急車を呼び……」
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