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秋の気配が日に日に濃くなってくる。
日中はともすれば半袖でもいいくらいの陽気になるのに、
朝晩は長袖一枚ではもう寒いくらいだ。
くしゅん、
と玄関先からくしゃみが聞こえた。
朝の仕入れから帰ってきて、
ようやく日が昇ったところ。
箒と塵取りを持った夏目が鼻を擦りながら入ってくる。
「風邪でも引いたか?」
厨房の中から秋月が心配そうな顔を向けた。
「ちゃんと布団かけて寝てるのか?腹を冷やしてるんじゃないだろうな」
「子供じゃないですよ」
夏目が唇をぷっと尖らせる。
「寒くなってきたら母屋に来るか?」
生きのいい秋刀魚をお造り用に選り分ける秋月に、
夏目が首を振る。
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