第1章

3/9
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
「いえ、 ここで充分です」 「暖房もここの二階はストーブぐらいしかないし、 真冬は冷え込むぞ。 母屋も部屋は空いているから遠慮は要らない」 「……え、 と」 夏目が口ごもる。 ―――秋月さんと、 ひとつ屋根の下? 俯いた秋月の横顔を見つめる夏目の脳内を、 あらぬ妄想が駆け巡る。 ……朝ですよ、 って起こしに行ったら、 秋月さんの寝顔が見れるかな? 眠そうな声で、 今日は定休日だからゆっくりでいいだろう、 とか言われて。 寝乱れた髪を梳いたら……びっくりするかな。 気持ちいいって、 うっとり言われたりして。 寛げた胸元から覗く肌に、 誘ってるんですか、 って聞いたら。 そうだとしたら、 どうする、 なんて見つめられたりして。 ……嘘。 嘘かどうか、 確かめてみるか?
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!