第1章

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結婚して子供を育てて、20年になる。 子供はようやく高校を卒業した。 そこで私は家族会議を開く。 「と、いうわけで。悠二も高校を卒業したし身の回りのことは自分でも出来るように最低限教育してきたつもりです。大学への進学も決まってることだし、これを機に一人暮らしする事も決まっています」 色々と新しいことを決めてばかりの最近だった。 「そこで、私も決めました」 私の話をキョトンとした顔で聞いている旦那と息子。 「離婚して自由になりたいと思います」 沈黙。 「はっ?」 先に言葉を発したのは息子の悠二だった。 「今更何言ってんの?離婚して生活できんの?」 「出来るわよ。別に専業主婦だったわけじゃないし、仕事も続けるから」 「いやいやいや…母さんは生活できても、親父は無理っしょ。家事なんて何一つ出来ない人でしょ?」 父親をかばう、よく出来た息子に育ったと思う。 「あら、この人は私に何も言えないわよ?」 「なんで?」 息子の疑問に答えるべく、私はクリアファイルを取り出した。 「18年前に書いた離婚届があるし」 結婚して20年。 息子は18歳。 結婚してから2年で浮気、しかも、浮気相手に子供が出来た。 それが、悠二。 「私はあなたの産みの親じゃないの。いずれ戸籍謄本とか手にする機会があると思うから、高校を卒業したら言おうと思ってたの」 「え…、ちょっと理解出来ないんだけど…」 先ほどまで父親をかばっていた息子は顔色が青くなってきた。 父親である旦那は青い顔をしたまま無言だ。
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