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私は微笑みをたたえながら穏やかに話す。
「あなたのお父さんはね、結婚したのに浮気を続けていて私との結婚生活が2年経った頃、浮気相手に子供が出来た。でも浮気相手は子供を産むだけ産んでこの人に押し付けて逃げたのよ。それで、私に頭を下げて子育てをさせたの」
その時の条件が、記入済みの離婚届を私が管理。
私とあなたの間に子供は作らない。
私が無理だと思ったら離婚届を出して私は出て行く。
「まぁ、悠二はいい子に育ったと思うわ。反抗期が本当に辛い事もあったけど。でも、もう終わり」
そこでゆっくりと私は息を吸い込んで、吐き出した。
「良き妻、良き母親。もう、やめてやる」
結婚をした時は二十歳だった。
今はもう40歳。
まだまだ人生はこれからだ。
「今までの家族ごっこ、楽しかったわ。どうもありがとう。さようなら」
それだけを告げると、私はこの場を後にした。
先に契約して少しずつ荷物を運び込んでいたアパートへと向かう。
あの家に、もう私の荷物はない。
私は、これから第二の人生を歩むのだ。
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