星男

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  幼いころ、あの日、橋の上から見た夜空は綺麗だった。  じゃあ、橋の下から見た景色はどうなるのだろう。とか思って、近所の川沿いの草むらに突っ込んだのが間違いだった。行った後から、雨がふりだした。  でもって一気に大雨ザザぶり。  ――墓穴ほったな。  幸運なことに目の前の川は幅に対して流量が少なめだった、さすがに決壊しないようだ。  良かったね。でもって橋の下で雨宿りも出来るとか最高じゃないか。  ここまでくるともう最強ポジティブシンキングで行くしかないね。    あいにく携帯電話は家においてきたので、警報ごとの大災害になっても助けには来ない。さよなら、私の人生。ここでオワタ。  せめて人生で最後に食べておきたかったものは……ひらたけがいっぱい入ったパスタであった。ちーん。 「――って、ばかが」  自分で勝手に想像して死んでどうするよ。元も子もないだろアホが。  とにかく、ここでじっとしている他にない。そう思っていたときだった。   「誰も居ないところで何やっとんねん」
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