第1章

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 だから歌ってCDを出さないかって話がきたときチャンスだとみんな喜びました。私は・・・・・・正直どちらでもよかった。人生で音楽に興味を持った事なんてなかったし、有名になれるということも現実感はありませんでした。でも・・・・・・。  私たちはそのCDが売れたことででたくさんの一に注目されて、仲間もたくさんのチャンスを得ました。夢を叶えたって子もいて一緒に喜びました。でも本当は私は」 「ーー君はそれがきっかけでグループを抜けた。自分が演出をして成功したグループの一員を止めた、そうだね?」 「・・・・・・はい、すぐに辞めました」 「周囲は君は本当はプロデュースがやりたくて今までアイドルの真似事をしていたんだろうと思った。実際君は歌手や芸能人の歌を多く成功させる中で、有名な音大にもいった。俺もそう思っていた・・・・・・でも君は、それは野心や夢でなく、違う理由で行ったと?」 「ーー私は、初めて、CD化の話が出て事務所の人に聞かされた曲を聴いて思ったんです。なんてひどい曲だろうって・・・なんの感動も感情もわかない、ただの雑音、そう思いました。こんなの歌ったら歌手になりたいって言ってる梨花の夢がつぶれるって焦って演出に加えてほしいと頼みました。彼女は私の親友でしたから」 「・・・・・・え?・・・・・・でも」 「だから私はがんばりました!ほとんどスタッフもついていない企画だったから、なんどもああしたらこうしたらとマネージャーさんに頼み込みました。この音楽は曲もメロディもだめだから、映像、演出、私たちの訴えやすいアピールポイントを分析して、仰られたとおり寝ないで何度も提案書を提出しました!このままじゃだめだ、音楽以外のもので勝負しないと話にならないからなんとかしないとって!!」 「でもあれは、新譜の売上一位になったーーもちろん君の演出への貢献もあったろうが、半年はベスト20に入ったんだ。新鋭の作曲家が売り込みで書いた名曲だ。歌唱力は普通だったが熱意は伝わってきて、曲だけ聴いてもの世代の違う俺でも「おっ」って振り返らせる力があった・・・・・・はずだよ?」 「そうなんです!あの曲が酷いんじゃなくて・・・・・・おかしいのは、本当におかしいのは私の方だった!私が私が!」 「水を飲んで、一気に話しすぎだ」
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