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冷静さを失いそうになっていた思考が、一気に冷めていく……
よく見ると安川の手にナイフが握れていた。橋野は眉尻をあげ、那智縄を見る。頷いた那智縄は安川を必死に宥めた。
「……虎羽! あの時は必要だったんたおまえがわかるだろ? 」
「……あなたの…きもちなんて……わからない……」
「虎羽! 虎羽! きなさい! 」
安川がベットから降り手に持っていたナイフが床に落ちた。那智縄が落ちたナイフを蹴り安川の肩を抱きしめた。
「すまなかった亮平……」
「雅範…後は頼む」
頷いてベットにいき唐須に声をかけると、驚いた顔をしてその顔を逸らした。その顔は涙で濡れていた。
「唐須さん……」
手早く両手、両足の拘束を解き唐須の口を塞ぐビニールテープを剥がした。
唐須は咳き込んで、抱きしめる橋野の腕にしがみついた。
(どうして…泣いている? )
「…橋野……おまえに触れられたい……」
(他の人で気づいた顔をして……)
橋野は冷たく恐怖で震える唐須の身体に触れた。
その身体が熱を帯びていく……
首筋にキスをしただけで唐須の身体が反応し、唇から甘い声が漏れる。
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