番外編1 薔薇の香りに魅せられ

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ーーーー ーーーーーー 『……嘘つき! 僕は許さないから! 』 少年の顔が橋野に替わり、こちらを睨みつける。 『違う! 俺は……』 ーーーーーー ーーーー あ…れ……俺……確か…… 安川……さんが……うまく……思いだせない…… 橋…野……橋野は……? 寝室のベットで身体を起こした。唐須は後頭部に鈍い痛みを感じその部分に触れた。湿布薬が貼られていた。 昨夜の記憶が徐々に思いだしていく…… 唐須は自分の身体に目をやり、安川に触れたことを思いだす。眉を寄せ両肩を強く抱きしめた。 サイドテーブルにマンションの鍵と、パスケースが置かれていた。 慌て立ちあがり、よろけながら手に取った。パスケースの下に白い小さな紙が添えられていた。 『必ず病院へいって下さい 橋野』 細いボールペンで柔らかい文字が書かれていた。紙を力が強く握りしめると、唐須はその手をサイドテーブルに打ちつけた。 「嫌いなら…優しくするな……おまえの痕を残すなよ! 大切な人はいつも……俺から去っていくのか……」 唐須は眉を寄せ、震える身体を抱きしめた。 「…こんな…身体の奥まで痕を残して!! そんなに…嫌いなら…なぜ…優しく抱いた!! 」 唐須は力なく崩れ蹲る。橋野の痕が深く残る身体を抱きしめ静かに泣いた。
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