番外編1 薔薇の香りに魅せられ

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三階、総務部経理課 会議室。 「辞めたい? また急だな。 役者を続けたいと言ったり、ここで働きたいと言ったり……一体、おまえはなにがしたいんだ? 」 眉間に皺を寄せて那智縄は橋野を見た。橋野は無表情のまま那智縄を見つめる。 「ケジメをつけてきます。期間は三ヶ月お願いします! 必ず戻りますから! 」 「……なんのケジメだ? 」 頭を下げる橋野に那智縄が言う。頭をあげた橋野に那智縄は探るような目線をむけた。なにも言わない橋野に、那智縄は小さくため息を吐く。 「わかった。だか、nachinawaには戻れない…前々からの約束に従ってもらうがいいのか? 」 「……はい」 「よろしい。では辞表を」 橋野は那智縄に手渡すと、会議室のドアにむかいドアを開けた。 「……昔…魅せられた薔薇の香りでも摘みにいくのかな」 背後で那智縄が独り言のように言う。 橋野は振り返ることなく、そのまま会議室をでていった。
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