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三階、総務部経理課 会議室。
「辞めたい? また急だな。 役者を続けたいと言ったり、ここで働きたいと言ったり……一体、おまえはなにがしたいんだ? 」
眉間に皺を寄せて那智縄は橋野を見た。橋野は無表情のまま那智縄を見つめる。
「ケジメをつけてきます。期間は三ヶ月お願いします! 必ず戻りますから! 」
「……なんのケジメだ? 」
頭を下げる橋野に那智縄が言う。頭をあげた橋野に那智縄は探るような目線をむけた。なにも言わない橋野に、那智縄は小さくため息を吐く。
「わかった。だか、nachinawaには戻れない…前々からの約束に従ってもらうがいいのか? 」
「……はい」
「よろしい。では辞表を」
橋野は那智縄に手渡すと、会議室のドアにむかいドアを開けた。
「……昔…魅せられた薔薇の香りでも摘みにいくのかな」
背後で那智縄が独り言のように言う。
橋野は振り返ることなく、そのまま会議室をでていった。
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