25人が本棚に入れています
本棚に追加
公演二週間前、プリザーブドフラワーの薔薇がやっと届いた。受付入り口辺りから、洋館の壁下段辺りまで、色んな色の薔薇をアレンジメントしていた。
橋野のは吸水スポンジにグールガンで薔薇を接着しながら、手伝いをしてくれる救世主達(蜜や他のスタッフ)に説明をしていた。
「さすが~薔薇王子だな」と蜜が言う。
「素敵! フラワーアレンジメントもできるんですね」と一人の女性スタッフが言った。
「こんな感じでお願いします。後…三十個ぐらい必要なので」
橋野が頷くと蜜やスタッフが頷き作業に取りかかる。
(後……少しで完成する)
…………
公演二日前、腐れ縁の…団長のお知り合いでもある。いけ好かない花屋 『perfect fifth』(パーフェクトフィフス)に注文していた薔薇が届いた。
届けにきた高安晴真(たかやすはるま)の顔を見ると不機嫌になった。その橋野を見て高安は苦笑する。
「お~い~せっかくさ~素敵な薔薇届けにきてやったのに…その顔はないだろう……それも激安だそ! 実家にいって摘んできてやったんぞ! 運ぶの手伝だえって! 」
橋野は薔薇の束を置いてある台車にむかった。無言で薔薇の束を降ろし、台車を空けて次の分を持ってくるように高安に言った。
最初のコメントを投稿しよう!