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那智縄は自分にとって絶対的な存在だった。
夢の出来事を見てしまうまでは………
いけないことなのは、幼いながらもわかっていた。病気で入院していた母親に『愛している』と言っていた。
母が亡くなっても、ずっと母を愛していると思っていた。なのに…他の人としかも、男同士で……自分の中のなにかが壊れた気がした。
それ以来、様子のおかしい自分を那智縄に問いつめられた。『どうしてあんなことをしたのか』と聞いた。顔色を変えるどころか那智縄は『見てたのか』と笑った。
『私の大切な『からす』という人の子。あの人と血の繋がった子を愛してなにが悪い? 私を誘うあの目…汚してなにが悪い? さてはおまえ…亮平の香りに魅せられたか? 』
那智縄がそう言って意地悪く笑った。その笑顔が幼い自分には、悪魔が微笑んでいるように見えた。
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