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(時人? こんな時間に…… )
小さくため息を吐いて携帯をタップし、耳に近づけた。
「なんだ…なんか用か……」
"「……そんな邪険にしなくったっていいじゃないか~半分血の繋がった兄弟だろ? 」"
(俺の邪魔ばかりして困らせたいやつがなにが兄弟だ! )
「要件はなんだ」
"「……亮平のこと偶然だった。雅範が昔、言っていた『名前の人』だと思って…ちょっと揶揄ってっやろうと思ったんだ。俺…ノーマルなのにさぁ気がついたらハマってた」"
「なにが言いたい? 」
"「まぁ……聞けって…あの人は無理矢理、身体を開かせても心は決して開かない。そのくせある種の匂いを放つ『甘い危険な香り』だ。それに嫉妬をする人間もいるんじゃないかなって思ってね……」"
「……どう意味だ? 」
(あの人の身体を汚したことなんか聞きたくない……)
時人が愉しそうに笑った。
"「……効果覿面だな。あんたを傷つけるには…それはそうと間に合うといいけど…その嫉妬をしているのが俺たちの父親だってことわかるだろ? 」"
嫌な予感がした。
「安川さんが……まさか?! 」
"「そのまさかだよ…あの人……今でも那智縄を愛している。酷い父親だな…さっき『ちょっとでてくる』って言ったっきり、帰ってこない。助けてやってくれ愛してる人を……」"
通話が切れた音のむこうで時人が、愉しそうに笑みを浮かべていた。
「……電話があったて途中で切れたとか言ったらもっと傷ついたかな…ねぇ… 兄さん……」
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