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「……俺がマンションの鍵持ってますから待ってて下さい。もう少しで着きますから」
少し落ち着いたのか那智縄は小さくため息を吐いて"「…そうか……待ってる」"と言い通話が切れた。
那智縄という男はどこまで人を振りまわすんだ! 自分のエゴだけで動いた結果がこれか? どれだけの人を傷つければ気が済む!
「俺も人のこと言えない…か……」
自分を嘲笑い、アクセルを踏んだ。マンションの道を走り抜け、片側に車を止める。運転席からでて、マンションのエントランスへ走った。
橋野に気づいた那智縄と、マンションの鍵でオートロックを解除し中に入る。二人は険しい顔でエレベーターに乗りボタンを押した。
目的の階でエレベーターが止まり、橋野は那智縄を促した。頷いた那智縄と橋野は唐須宅へ走る。
「ここです」
橋野がドアノブに手をかけ引いた。ドアが開き、那智縄が先に中に入る。リビングには誰もいない。奥の部屋のドアが少し開いていて、那智縄がそのドアを開けた。
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