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大きく息を吸って、ゆっくり吐き、呼吸を整えるとインカムに向かって話し始めた。
本当の気持ちを。
『一ノ瀬さん。自分もあなた方を信用したいです。自分には、いまお金が必要なんです。その為に自分はバイトを捜しています。そして、偶然見つけたのが、このBlack Bird の捜し物専門の探偵募集のチラシでした。社長の黒鳥さんには、自分の過去を話しました。彼の熱意を訊いて信頼できると思ったからです。けど、いまは、自分の過去を話した事を後悔しています。それは、あなた方が嘘をついているからです。一ノ瀬さん。Black Bird は、普通の捜し物専門の探偵事務所ではありませんね? あと、一之瀬さん達もやっぱり、普通の捜し物専門の探偵ではありませんね? だって、そうじゃないなら自分が、その質問をした時にだけ、顔色が変わる訳ないですもんね? それ以外は、笑顔だったのに、この時だけ舌唇噛んでましたよね?』
『______________________やっぱり、君ってすごいね。社長が会いたがる訳だよ。そうだよ。僕は、君に嘘をついている。けど、その答えは、僕より、本人に訊きな』
零の本音と言う推理に関心した遼は、ニコッと零に一瞬、笑顔を見せると、スッと立ち上がり、自分の左手を零に差し出す。
「一夜零。Black Bird 社長、黒鳥恭輔があなたを待っています」
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