past  過去

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「零くん見つけた。君って足速いんだね。お兄さん。きみのこと甘く見てたよ」 「!」  一之瀬遼と月見坂伊吹を見た瞬間、殺されると脳が本能的に判断した。  それなのに一之瀬遼は、逃げた自分の居場所を探り出し、追いかけてきた。  けれど、この場所は、普通の人間は入ることが出来ない場所。何故なら、この場所は、一夜零が、現在通っている鈴凜学園中等部の敷地内。  入る事が出来るのは、学園に通っている生徒、教員、学園関係者、そして、学園が雇っている警備会社の警備員。  全員学園に入るための個人IDを学園に登録している。これがないと、学園に入る事ができない。  もし、個人IDを持てない人物が、学園に忍びこんだり、入り込んだりしたら不審者とみなされ、自動的に警察へデータが送られる仕組みになっている。  けれど、零の目の前に現れた一之瀬遼は、不審者扱いされることなく零の前に立っている。 (この男、一体何者? なんで、通報システムが発動しない。この男、明らかに不審者なのに……くそ、こんな所で殺されてたまるか)  覚悟を決めて、今日買った授業で使う道具が入ったビニール袋に手を突っ込む。 ★
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