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「一ノ瀬さん。冷めないうちにどうぞ。これもよかったら、貰い物ですけど」
戻ってきた零の左手には、さっきまで持っていなかった黒いトレイが握られていた。
そのトレイの中から、零くんは、急須と湯呑、そして、食堂のおばさんから貰ったというようかんが入ったお皿とスプーンを机の上に並べた。
※零くんが急須などを置いた机は、彼の勉強机兼食卓。
「零くん。自分にこんなことする必要ないよ」
目の前に置かれた飲み物と食べ物に思わず戸惑う遼。
だって、さっきまで彼は、自分達の事を怖がっていた。まぁ、一応誤解は解けたけど。
「何も入っていませんよ。もう、自分に一ノ瀬さんを殺す理由ありませんから。まぁ、一ノ瀬さんの方は、分かりませんけど」
自分の正面に零が腰を下ろす。そして、まっすぐ遼の目を見つめる。
「!?」
誤解は、解けたと思った遼は、零の発言に一瞬戦闘モードになりかけたが、事務所での社長と彼との電話での会話を思い出し、戦闘モードをどうにか抑え込えこんだ。
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