alone 一人で

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 社長である黒鳥との会話(但し通信は接続したまま)を終え、零のインカムへの通信を再び再開させたもの、インカムからも、本人からもいまだに反応がない。 「俺は、零くんの触れてはいけない逆鱗に触れてしまったみたいです。それにしても、さっきの零くんからは、躊躇いも、迷いすら感じなかった。最初に、自分にカッターの刃を向けてきた彼は、確実に自分を守る為。けど、さっきの彼は、確実に自分を殺す気だった?」   _ブぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶブ_ 「!?」  突然、部屋中に携帯の着信音が響き渡る。  その音に遼が驚いていると、急に音が消え、代わりに話し声が聞こえてきた。 『はい。わかりました。今週末伺います。じゃあ、失礼します』  携帯を内ポケットに入れる。そして、その場でため息をつく。 「……また、出費が」 「……零くん?」 「!?」  びっくりしてその場に携帯を落としてしまう。 「零くん? 大丈夫?」  遼は、慌てて彼の携帯を拾い上げ、状況が理解できてない彼に渡す。 「あんた誰? まぁいいか? どうせすぐに死ぬんだし」  目の前に居たのは、一本ネジが外れたカラクリ人形みたいに笑い、どこに忍ばせていたのかサバイバルナイフを舌で舐め、さっきとはまるで様子で自分の事を見つめる男性。  そこに、さっきまでの零くんは存在しなかった。 「……」  その姿にさすがの遼も言葉を失ってしまう。  そして、そんな遼に追い打ちを掛けるように、首筋にナイフを躊躇いも迷いもなく近づける零。  それでも、ナイフが少し当たった場所からは、血が流れ始めた。  けれど、すぐ、死に至る量ではない。  でも、この状態をどうにかしなければ大量出血で死ぬかも知らない。 「猶予をやるよ。なんか、あんたすぐ殺すと面白くなさそうだし」 「零くんだよね?」 「……猶予やろうと思ったけど、なんか俺の名前知られてるし。バイバイおっさん」 『一ノ瀬!』 「!?」 ★
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