past  過去

9/17
前へ
/64ページ
次へ
 小学4年生の頃、大好きだった両親を交通事故で亡くした。  それも、自分が学校に行っている間に。  朝もいつも通り『いってらっしゃい』と笑顔で見送ってくれた母さん。  そんな母さんに『行ってきます。母さんも父さんとお出かけ楽しんできてね』と手を振りながら返事を返した。  すると、母さんの後ろからいつもは、自分より早く家を出る父さんが少し怒った口調で現れた。 「零。早く行かないと遅れるぞ」 「大丈夫だよ。父さんも早く準備しないとデート遅れるよ」 「零!?」  自分に跳びかかろうとした父親をかわして外に飛び出した。 「行ってきます」  まさか、これが両親との最後の会話になるなんてこの時は、思いもしなかった。 「一夜君!? 親御さんが交通事故に巻き込まれて……」 _バリバリ_ガタン_バリバリ_ガタン_ ★
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加