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こんな大きな場所はいらないだろうと、一周してみると、表と思われる場所もあり、輸入食品の看板が出ていた。そこには、普通に会社が入り、頻繁にトラックが出入りしていた。
倉庫の間借りをしているのかもしれない。それでは、本当の借主は、食品会社になっているので見つかり難い。
そこから歩いて、港の一角になる接待場を見てみた。表に幾人かの見張りがいるので、今も使用されている。パブやキャバクラであた店をそのまま使用しているようで、ピンクの看板にガムテープでバツがつけられていた。
窓は全て塞がれていて、覗けるような場所はない。出入りは地下駐車場からになっていて、表には見張りしかいない。
そこに、黒塗りの車が入ってきていた。運転手付きのベンツであるので、相当な金持ちのような気もする。
俺は車の陰に隠れて、地下駐車場まで行ってみた。しかし、エレベータが暗証番号になっている。
車から降りる中年の男性が見えたので、隠れるのを止めて正面に出てみた。
「あの、俺の友達、ここに来てからノイローゼ気味なんだけど、中は何?」
男は、俺を下から上まで見ていた。
「君、可愛いね?運動部?」
「バスケ部」
ニタリと男が笑う。
「ここは食事処、若い子をね食べさせてくれるのさ。俺は初物好きで、三回までが限定。きつくて狭いのだけが好き。相手が泣いて嫌がる趣向が好み」
男がタバコを吸いだした。高級な服で固めていても、中身は相当下品のようだ。
「金を払って買っているの?」
「会員制だけどね、金ではない。俺は金持ちだけどね」
男が俺の肩を抱き込もうとしたので避けると、タバコを吐き出した。
「中を見たいのでしょう?俺の連れで入れてあげるよ」
「中の見学で済むのですか?」
中は見たいが、この男は危険のような気がする。
「……君、無理にされて泣くくらいならば相手を殺すタイプでしょう。ちょっと試したいけど怖いからパスね。俺、今回集金だけだからさ。運転手付きだし。はいサングラス。顔を隠して」
どういう意図なのか分からないが、一緒にエレベータに乗せてくれた。
エレベータを降りると、受付があるが、中は個室が並んでいた。廊下にはドアしかない。
「店長は上か」
受付を済ませると、上の階に階段で移動する。すると、今度はパーティ会場のような場所があった。
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