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「金田さん、送ってください。将嗣さんが、わざわざ行くまでもないでしょう」
クマにリールを付けると、将嗣に渡す。クマは将嗣に飛びかかり、舐めまくっていた。
「……そうか」
でも、その前に北川に聞きたい事があった。
「北川さんは?」
「今、帰るところですよ」
金田が庭に出て来ていた。俺は、慌てて正面玄関に走ってゆく。金田も慌てて、俺の後ろを走っていた。
「北川さん、今までモノにして高校生がいたら教えてください」
北川は、車に乗り込む手前で止まり、かなり嫌そうな顔をした。
「ガキは趣味ではないの。ヤルのは、せめて、成人式が終わった後だな」
初物がいいと言っていたのではないのか。
「……その年で初めてはいますか?」
「男ならば、後ろを使った事がない者が大半で、一生使わないと信じている」
北川は、女性は妻とプロが好きで、男だけが初物好きであった。
「名前を教えてください」
「何に使うの?」
売人を特定するために使用する。
「倍薬(ダブル)には危険があります。これは、組み合わせてはいけない組み合わせと、どうなるのかのリスト。こっちは致死量のリスト。倍薬(ダブル)は重ねて飲んでも大丈夫と思われているのですが、致死量を超えると死にます」
相澤経由でリストを貰っていた。
「それと、これは、接待を受けていた著名人の映像」
これと引き換えに、北川の情報が欲しい。
「引き換えろと?」
「そうです」
著名人の映像は、北川の興味を引いていた。北川は車の中からタブレット端末を出すと、同じく映像データを出した。
「これ渡す。そっちも渡せ」
データを交換してみた。
「名前は偽名だろうからね。顔を見せてやるよ。でも、ベッドの上の映像は成人向けだから見るなよ」
ベッドの上の映像は、天井がマジックミラーになっていて、その上から撮られたものなので、あまりはっきりとした映像ではなかった。それよりも、個室の前で北川が接待を受けている映像の方が、顔がはっきりしていた。
「……何人と寝たのですか?」
データ量が莫大過ぎる。
「百人……くらいかな」
ため息しか出ない。その人数が、本来、知らなくてもいい、男との情事を覚えてしまったのか。それに、売人の数が多すぎる。
「でもさ、その内、四割は一晩で逃げたよ。どうにも、俺にか男にかは分からないけど、ケツを掘られるのが嫌だったのだろうね」
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