『天神四区』

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 ホーとカンフーで遊んでいた時、格闘技は足さばきである程度分かると教えられた。それでゆくと、男の二人は柔道をしている、残りの一人はボクシングであった。柔道をするうえに、後ろに刀を持っている。  ボクシングには足技がない。柔道には、離れてかける技がない。  刀が厄介であるが、幸いここは狭いので、振り回すには限界がある。 「見張りがいるということは、人質はこっちで合っている」  俺が、そのまま前に進んだので、男の一人が日本刀を出して脅してきた。俺が、構えた日本刀の上に飛び乗ると、刀は地面に刺さった。 「何だと!」  刀の上から、顔面に蹴りを入れ、怯んだところで肺を狙って回し蹴りを入れる。  顔は精神的なダメージは大きいが、動けなくするには体に攻撃をしなくてはいけない。  もう一人が切りかかってこようとしたので、足で床に刺さった刀を蹴り上げると、相手に飛ばしてみた。  刃物の怖さを知っているのか、飛んできた刀を刀で避けていた。  でも、刀よりも柔道技の方が怖かった。ウエイトが違い過ぎているので、技をかけられたら返せない。 「馬鹿にしやがって」  やはり、刀は厄介なので、投げ捨てられていた鞘を持つと、攻撃に出た。まず鞘で手を狙い、刀を動かなくすると足を払う。男は刀が邪魔と分かると、潔く手放していた。 「うん、現場慣れしている」  銃ではなくて、本当に良かった。 「では行きますか」  後ろで見学していた征響が、前に出てきた。するとボクサーも前に出る。  征響は拳を避けながら、相手の腹部を蹴り飛ばしていた。 「あがり」  一発でボクサーは動けなくなっていた。サッカーはやはり、格闘技だったのかもしれない。 「三人終了」  後ろのメンバーは、いつの間にか男二人を気絶させていた。  鉄の扉を開くと、中には目を閉じたままの学生が五人程いた。 「大丈夫か?」  無事を確認したいところであるが、どこかおかしい。  拉致されたのは、四人であったような気がする。 「四区ってね、薬物に強くてね……起きろ!」  これで目を開いたのは、売人の仲間であろう。被害者のフリをして、こちらの正体や出かたを確認していた。 「こいつは、誰?」  他のメンバーを救出して、残りの一人はそのまま残した。 「目を覚まさないけど、何かな」  おぶって運んでみたが、体温も低い。外に出ると、藤原の送迎が、応急処理までしてくれた。
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