576人が本棚に入れています
本棚に追加
それでも、六十人はいるのか。
北川も自分の情事の記録を取っているなど、趣味が悪すぎる。
「勿体ないよな。後、二回くらいさせてくれたら、ヤミつきにしてやったのに……」
北川の自信に、根拠は乏しい。
「では、北川さんありがとうございます」
俺は、頭を下げると、金田の小さな車に向かった。
「金田さん、お願いします」
「はいよ」
走りだす車の窓から、藤原の本家を見る。
藤原の家には、時には鉄砲玉のような男が入ってくる。
藤原と一緒の時にも、何度も遭遇した。
俺がここは普通の家ではないと自覚すると、藤原が悔しそうにもう来るなと言った。
もう一緒に遊べないのかと俺が聞くと、急に藤原は口を一文字に結んだままだった。
最初のコメントを投稿しよう!