第六章 海の消える先二

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 それから藤原は、家を飛びだして別に家を借りて住むようになった。  家に到着すると、金田の車を降りた。 部屋に戻ろうとすると、征響が走り寄ってきた。 「弘武!何していた」  聞く前に、征響に脇腹を蹴り飛ばされていた。 避け損ねたのもあるが、まさか、征響が本気で蹴るとも思っていなかった。 「うぐぐぐ」  両足で踏み止まったが、一メートルは元の位置から移動していた。 「柔道の黒帯は、ケンカに柔道技を使ったら凶器と同様だよね。 サッカー部は足で人を蹴ったら、凶器使用と同じだからね……」  屁理屈を言ってみると、征響は暫し考えてから改めて蹴ろうとしてきた。
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