第六章 海の消える先二

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「待った。何?どうしたの?」  俺に理由を聞く前に、征響に理由を聞きたい。 「将嗣さんから電話でね。弘武が一人で潜入していたらしいってね」  佳親にもバレてしまったという事なのか。 恐る恐る久芳の家を見ると、表情を無くした佳親が歩いて来ていた。  これはまずい。佳親と征響の二人を相手にしたら、俺に勝ち目はない。 部屋に逃げ込んでも、合い鍵を佳親は持っていた。 「相澤の所に行ってきます!」  俺が走り去ろうとすると、征響の蹴りが入ってきた。 来ると分かっていれば、避ける事が出来る。 俺は、階段を駆け上がると、三階の屋根に飛び乗った。
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