第11話 妻の眼差し

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今日も一日の仕事が終わろうとしていた。 残業もないため、俺は定時に上がり会社を後にした。 しかし、家に帰っても妻がいる。 前までは香澄の笑顔を見ただけで、疲れが取れ、明日も頑張れると思った。 しかし、今では妻の顔を見るだけで疲れどころか、ストレスが増すばかりであった。 そう考えれば考えるほど、家に帰る足取りが重くなる。 ――いつから、こんな風になったんだろう。 考えてみれば俺の暴走から、始まった。 でも最終的に俺は妻の事を許し、香澄の愛を取り戻せると思っていた。 しかし、離婚という結果に終わった。 恐らく、心の底では妻の不倫を許せなかったのかもしれない。 すると突然、俺のスマホから着信音が鳴り響いた。 相手は『森次』からだった。 「何だ?」 「テレビ見てるか?」 「いいや」 「まぁいい。実は都内で銀行強盗が発生した。お前の力が必要だから、すぐに来てくれ」 「場所は?」 「朝日銀行池袋支店」 森次は場所を言っただけで、すぐに電話を切った。 池袋支店といえば、ここからすぐ近くにある銀行だったので走って現場へと向かった。
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