第11話 妻の眼差し

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まず安原は一枚の写真を俺に見せた。 写真に映っていたのは見るからに、気持ち悪そうな人相をした中年男性だった。 「こいつは?」 「半田剛司、幹部の一人だ。こいつは残っている幹部達の中で、最も手が届くタイプだ」 安原は半田剛司という男について説明し始めた。 「森次の情報によると、半田は妙な性癖を持っていてね。奴は深夜、いつも練り歩く新宿の街を徘徊しながら、女子高生を援交したり、酷い時はレイプしたりしている」 「つまり、隠れなきゃいけないのに奴の性癖を利用すると?」 「そうだ。特定の女子高生を囮にして、奴がホテルに入ったところで生け捕りにする。殺したら、他の幹部達の情報が聞けなくなるからな」 つまり、安原は俺に体のいい美人局をしようと誘っているのだ。 確かに、良い案ではある。 残り四人の幹部達の情報がない今、微かに情報のある半田を捕まえて、仲間の居所を吐かせるのも一つの手だ。 だが、俺はすぐにその案を却下した。
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