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まず安原は一枚の写真を俺に見せた。
写真に映っていたのは見るからに、気持ち悪そうな人相をした中年男性だった。
「こいつは?」
「半田剛司、幹部の一人だ。こいつは残っている幹部達の中で、最も手が届くタイプだ」
安原は半田剛司という男について説明し始めた。
「森次の情報によると、半田は妙な性癖を持っていてね。奴は深夜、いつも練り歩く新宿の街を徘徊しながら、女子高生を援交したり、酷い時はレイプしたりしている」
「つまり、隠れなきゃいけないのに奴の性癖を利用すると?」
「そうだ。特定の女子高生を囮にして、奴がホテルに入ったところで生け捕りにする。殺したら、他の幹部達の情報が聞けなくなるからな」
つまり、安原は俺に体のいい美人局をしようと誘っているのだ。
確かに、良い案ではある。
残り四人の幹部達の情報がない今、微かに情報のある半田を捕まえて、仲間の居所を吐かせるのも一つの手だ。
だが、俺はすぐにその案を却下した。
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