第11話 妻の眼差し

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「ダメだ。いつ現れるか分からないのに、そんな作戦。失敗するに決まってる。さっきも言ったが俺は離婚して、これから忙しくなるんだ。尾行したり、監視する暇なんてない。第一、誰が囮の女子高生をやるっていうんだ?」 俺はその作戦の無理な点を洗いざらい話したが、安原はちゃんと考えてあった。 「安心しろ。誰もお前に美人局をやれとは言ってない。川窪がやってくれるそうだ。あいつはあの辺の繁華街を知り尽くしているから適任だろ」 川窪は主に夜の街を中心に活動しているジャーナリストだ。 誰だろうと紳士的に接する姿勢から、そこの住人達には人気があった。 更に安原は話を続けた。 「それに囮の女子高生なら、志願者がいる」 「志願者?誰だ?」 すると急に安原が黙ってしまった。 「どうした?」 「……いいか、怒るなよ。実は聡美ちゃんがやりたいって言い出したんだ」 俺は聡美ちゃんと聞くやいなや、すぐに椅子から立ち上がり、安原の胸ぐらを掴んだ。 「お前っ!」 「落ち着けっ!さっきも言ったが、あの娘がやりたいって言い出したんだ」 「だからって、俺は絶対に反対だからなっ!」
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