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「ダメだ。いつ現れるか分からないのに、そんな作戦。失敗するに決まってる。さっきも言ったが俺は離婚して、これから忙しくなるんだ。尾行したり、監視する暇なんてない。第一、誰が囮の女子高生をやるっていうんだ?」
俺はその作戦の無理な点を洗いざらい話したが、安原はちゃんと考えてあった。
「安心しろ。誰もお前に美人局をやれとは言ってない。川窪がやってくれるそうだ。あいつはあの辺の繁華街を知り尽くしているから適任だろ」
川窪は主に夜の街を中心に活動しているジャーナリストだ。
誰だろうと紳士的に接する姿勢から、そこの住人達には人気があった。
更に安原は話を続けた。
「それに囮の女子高生なら、志願者がいる」
「志願者?誰だ?」
すると急に安原が黙ってしまった。
「どうした?」
「……いいか、怒るなよ。実は聡美ちゃんがやりたいって言い出したんだ」
俺は聡美ちゃんと聞くやいなや、すぐに椅子から立ち上がり、安原の胸ぐらを掴んだ。
「お前っ!」
「落ち着けっ!さっきも言ったが、あの娘がやりたいって言い出したんだ」
「だからって、俺は絶対に反対だからなっ!」
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