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「じ、条件というのは?」
「学校に通いなさい」
俺はこれ以上、彼女を悪い道へ行かせないために学校に通えと提案した。
「費用は俺達が払う。だから君は勉強に専念しなさい。これは君の為でもあるんだ。勿論、俺達との付き合いは変わらない。悩みがあったら、相談にきてもいい。しかし、裏の仕事はこの一件が終わったら、もうやらせない」
「つまり、真っ当な大人になれと?」
「そうだ。俺に恩を返したいのなら、まずは学校に通うべきだ。分かったかい?」
俺は彼女にそう諭すと、また下を向いて黙ってしまった。
しかし、すぐに俺の方を向いた。
「どうして、そこまで私の為にしてくれるんですか?」
「君は俺みたいにはなってほしくないからだ」
「……分かりました」
何とか、分かってくれて俺は安心するとすぐに安原に電話をかけた。
「作戦を実行してくれ」
「いいのだな?」
安原は少し思い詰めた感じで俺に聞いてきた。
こいつも再三、悩んだに違いない。
だが、俺は迷わずに答えた。
「ああ。但し、聡美ちゃんをちゃんと学校に通わせるんだ」
「お前に言われなくても、そのつもりだったよ」
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