第11話 妻の眼差し

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「じ、条件というのは?」 「学校に通いなさい」 俺はこれ以上、彼女を悪い道へ行かせないために学校に通えと提案した。 「費用は俺達が払う。だから君は勉強に専念しなさい。これは君の為でもあるんだ。勿論、俺達との付き合いは変わらない。悩みがあったら、相談にきてもいい。しかし、裏の仕事はこの一件が終わったら、もうやらせない」 「つまり、真っ当な大人になれと?」 「そうだ。俺に恩を返したいのなら、まずは学校に通うべきだ。分かったかい?」 俺は彼女にそう諭すと、また下を向いて黙ってしまった。 しかし、すぐに俺の方を向いた。 「どうして、そこまで私の為にしてくれるんですか?」 「君は俺みたいにはなってほしくないからだ」 「……分かりました」 何とか、分かってくれて俺は安心するとすぐに安原に電話をかけた。 「作戦を実行してくれ」 「いいのだな?」 安原は少し思い詰めた感じで俺に聞いてきた。 こいつも再三、悩んだに違いない。 だが、俺は迷わずに答えた。 「ああ。但し、聡美ちゃんをちゃんと学校に通わせるんだ」 「お前に言われなくても、そのつもりだったよ」
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