第11話 妻の眼差し

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数日後…… 俺は今週の日曜に出ていくことに決めた。 仮住まいはとりあえず、会社の寮を借りようと考えたがたまには、ハメを外そうと思いホテルを借りることにした。 妻は自分が出ていくと言ってくれたが俺の方が何かと都合が良いと思い、俺の独断で決めた。 しかし、今度は「一緒に秘密を見に行こう」と言い出してきた。 俺は頑なにそれを拒んだ。 やはり、妻の顔を見るのが怖い。 香澄は不満に思ったが、頭を下げて頼むと薄々、承知してくれた。 慰謝料、仮住まい、荷物の整理などを終え、残るは出ていく日を待つばかりとなった。 その一方で、半田をおびき出す作戦は上手く行っていなかった。 ただ、俺達は持久戦になることは予想の範囲内だったので、あまり落ち込まなかった。 離婚、裏の仕事、そして妻が秘密を知ってしまった時の事。 考えなきゃいけないことは山のようにある。 そんな考えを打ち消すために俺は表の仕事に専念することにした。
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