第11話 妻の眼差し

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現場に着くと、既に周囲は野次馬でごった返していた。 目の前は多くの人集りで、銀行の正面玄関が見えない程だった。 すると、後ろから誰かが俺の肩を掴んだ。 振り向くと、スラリとしたスーツを着た男性がいた。 俺はその男を見ると無表情で声をかけた。 「久しぶりだな」 「そうだな」 森次も無表情の上、堅苦しい挨拶は抜きにして早速、本題に入ろうとした。 「ここじゃ、話にもならない。向かい側のビルに行こう」 「ああ、分かった」 俺達は強盗が発生した向かい側のビルへと向かった。 ビルに入るとそこは既に誰もいなかった。 森次があらかじめ、全員を避難させておいたのだ。 避難という理由もあるが、目撃者を作らない為でもあるのだろう。 そのまま、エレベーターで最上階まで上がった。 このビルの最上階は八階までだが、そこには何も無く、あるとすればスナイパーライフルだけが俺を待っているかのように置かれてあった。 「ここのテナントは?」 「ない。前までは小さな会社が使っていたが今は誰も使ってない場所だ。だからこの場所を選んだ。それに窓からは正面玄関が見えるしな」
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