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悠治さんと結婚して私は灰谷香澄となった。
2LDKの新築マンションを借りて、私達の結婚生活が始まった。
私は今の仕事を辞めて、専業主婦に専念することにした。
一日一日が忙しくて、すぐに過ぎてしまっていた。
それでも私は幸せを実感している。
悠治さんは今まで通り、優しい旦那様だ。
料理苦手の私に、彼は当番制にしようと言ってくれたのだ。
でも彼の優しさにいつまでも甘えてばかりじゃダメだ。
だから今の私の目標は上手い料理を作る事。
そして私の旦那様に美味しいって言ってみせるんだから。
ところが実際はというと……
「どう……かな?」
悠治さんが私の料理を黙々と食べていた。
今晩のおかずは味噌汁と焼き魚だ。
「う~ん。不味くはないけど普通かな。でも美味しいよ」
夫はそう言ってくれたが、顔は笑っていなかった。
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