第1章  ホテル仕様の学生寮  

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「……ネットはどうやって?」 「寮内だったら一階の談話室にあるパソコン使うか、二階の自習室のパソコンで。校舎棟ならWiFiあるからどこでも大丈夫。校舎棟内のスマホや携帯、タブレットの持込みはいいけど、授業中は電源オフしないと没収だから気をつけて」 「じゃあ、寮では通話もメールも無理ってこと?」 「そう。電話は公衆電話で、ネットは共有パソコンで。今どきレトロだろ」 「レトロというか……」 「共有パソコンだからエロ画像とか見たら検索履歴残るから気をつけてね。みんなで見てる時もあるけど、そういうのダメなほう?」  浩美はすこし眉を寄せた。 「べつに」  ちょっとからかってみたい気がして試しに訊いてみたのだが、浩美の返事はクールだった。そのべつにはどう取ったらいいんだか。 「あ、彼女に連絡できなくてこまる?」  懲りない篠田は面倒くさそうな表情になった浩美に澄ました顔で訊ねた。いたずら心からの質問だった。 「そんなのいない」  淡々と返した浩美に篠田はにこっと笑い返した。意外と素直なのかもしれない。律義に返事してくるなんて。
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