豚に真珠

2/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
§  先週入ってきた新入社員の山田君がマジでおかしい。 「君、何でそんなの持ってんの」 「これですか?」  僕が指摘すると山田君は適当に相槌を打つ。  僕が指差したのは彼の腕に巻かれた時計だ。明らかに高級なものだ。  そういえば彼、財布も高いの持ってたんだよな。 「山田君さ、そういうのはちゃんと出世してから買ったら? まだ入社したてなのに。それとも親からもらったの?」 「いえ、自分で買いましたけど。てゆうか、そんなに変なの身につけてます? 僕ならつけて良いと思いますけど」  彼は憮然とした態度でそう言ってのける。とても新入社員の言う発言ではない。  というか彼は少し頭のおかしい子なのだ。  何か会社に入って親睦会を開いた日、居酒屋で馬鹿げた話をしたのだ。 『僕は心だけ、前前前世からやってきたんです。この体は借り物なんですよ』  いわゆる厨二病というやつである。  どうやら彼の前前前世? ではとてもお金持ちらしく、だから高級な金品を持っていても何も違和感がないらしい。  だが本当にヤバいのは、 『え? 割り勘で一人三千円っっっ? も、ももも持ってませんよ! そんな大金!』  彼の貨幣価値がかなり遅れていた事だ。本気でキャラを固めに来てるのかリアルなのか分かりにくい事するんじゃないよ!
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!