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抱かれ続けた記憶は確かにある──
だが、それがどれだけの時を過したのかまでは確認できない。
愛美はほとんど快楽で気をやり意識朦朧としていたからだ。
「そろそろ果物以外の食事をして頂かなければバテてしまわれます。……今宵は普段よりも豪華な食事を用意させております。どうぞ急ぎでお支度を──」
相変わらず淡々とした声音で話すとアレフは手を打ち鳴らし建物の外へ呼び掛けた。
「お目覚めだ! 早々に支度の準備を──」
掛けた声にはいっ!と小気味良い返事が返ってくる。入り口を塞いでいた布が開くと初日に食事を運んで来たときと同じ女達がシースルーの布を手にして現れた。
アレフはそれと入れ違うようにして頭を下げて外へ出る。
「あ、やだちょっとっ?」
女達は愛美が躰に巻き付けていた布を剥がし、愛美をその場に立たせた。
愛美の胸に小さな前掛け式の白い布を被せ、後ろを紐で結ぶ。
腰にも同じように小さな布を当てると両端に付いていた紐で結び付けた。
取り合えず控え目に隠してくれたのだろうか──
最後にシースルーの長い布を二枚重ねて躰に器用に巻き付けられていくとそれは一つの服に成り変わっていた。
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