恋と悪魔

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★★★★ 蒼とフィルにとって、教室のベランダは二人だけの時間を過ごすには、もってこいの場所になっていた。 掃除もろくにせず、ずっと放置しっぱなしのそこに、寄り付く生徒はほとんどいない。 大半は教室かグラウンドだ。 頭の上には何もない。ただ空をいくつもの大きな雲がゆっくりと駆けている。 蒼はそれら目でおって、今の変な気まずさを紛らわした。 フィルはグラウンドのサッカーを眺めている。 結局、フィルはサッカー部には入らなかった。 「この高校のサッカー部が弱小だったってこと、スッカリ忘れてた。入部は止めにしといたよ。」 大層な理由だと蒼は思った。 お高いものだ。 一階の自動販売機で買ってきた紙パックのジュースにストローを突っ込む。 最近、毎日飲んでいるミルクティ。糖尿病の心配は無いと思うが、大概飽きてきた。 「…フィル。まだなんか考えてる?」 緊張してしまい、声を出すのに、驚くほど体力を使った気がする。 「…まぁ、考えても無駄な事なんだけどね。」 「朝、ナサと話てた事だろ。俺には話せない?」
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