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今日は嵐になると誰かが言っていた。
休み時間にふと窓の外を見て、思わずその光景から目が離せなくなる。
学校の外では突風が吹き荒れ、雲は厚くはりわたり、木々が唸っていた。
辺りは薄暗く、今にも雨が降り出しそうだ。
「…ナサ。」
いきなり自分の名前を呼ばれた少女は振り向きざわに溜め息をついた。茶色のふわふわした髪の毛を高い所で二つにくくり、青い目を持つ少女だった。
話かけた少年もまた、同じような容姿をしていた。
「ナサ。また良子がいない。」
「…見て、フィル。空が―」
「ちゃんと聞いて。良子の事さ!!」
両肩を乱暴に掴み、無理やり自分の方を向かせた瞬間、ナサの目が悲痛な色をした。
「……また…なの?」
そしてその場に座りこんだ。
「うん。きっと、またあそこにいる。」
「「アクマのところ。」」
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