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「力になるよ!!助けにもなる!!」
蒼は握っていた腕に優しく力をいれた。
その子は「まるで信じられない」という風に、しばらく蒼を見ていたが、ふっと口もとがゆるんだ事を見逃さなかった。
すると彼女は弱々しく
「…そう言ってくれるだけで救われる。」
と蒼に告げると、
静かに教室から出ていったのだった。
蒼は何か、
ただならぬ嫌な予感が、
頭を駆け巡った。
☆☆☆☆
「あいつは俺に何か言う事があるだろうに…。」
朝、ようやく教室も賑やかになってきた頃。
予鈴の数分前に現れたフィルは、愚痴をこぼしながら机に鞄を乱暴に置いた。
蒼は「おはよう」といって駆け寄る。
「全くおかしいぜ。」
「…何が?」
「ウチの姉貴。ナサの事さ。」
フィルは教室を見渡しながらイライラした口調で言った。
何か、朝の事と関係があるかもしれない。
ナサはまだ教室に帰ってきてはいなかったのだ。
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