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結局。ナサが教室に現れたのは昼を過ぎてからだった。
昼休み、いつものベランダにいた蒼とフィル。
教室から何やら女子の騒がしい声が上がったので、反射的に窓から確認すると、女子に囲まれていたのは頭一つ飛び抜けて背の高いナサだった。
大幅に遅刻をした理由を問いだされている。
蒼の傍らで一緒になって見ていたフィルは、女子の群れを追い払い、ツカツカとこちらに近付いて来るナサをじぃっと見つめた。
…睨む。
「…なんで遅刻?」
「不満そうな顔…。」
ナサがふぅっと溜め息をついた。
「理由も言えないのか。」
フィルが切り返す。
「ここではあんまり言いたくないわね。…社長出勤よ。」
ちらり蒼の方を見る。
蒼はまた何かもやもやした気分になった。
ナサはきっと自分が話の中に入られるのが嫌なのだろう。
…と言うことは
(また『悪魔』関係の話…?)
「オレ、邪魔ならどっか行くけど。」
興味が無いと言ったら、全くの大嘘だ。
「……。何か勘違いしてるわ、蒼。」
けど、邪魔者扱いも同じくらい嫌だった。
ナサは早々に去って行った。
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